50首会より

 

 

夏こそは秋こそは 初級ロシア語で格が変化していくさまよ

 


指先をあなたの頬に擦りつけて黒鉛の跡、みたいな感じの……

 


Wi-Fiのようなしくみで触れあって触れあえなさもたしかめるだけ

 


重力にしたがうようなことだった ゆるやかに打つシャトルの軌道

 


満ちるのはすべて誰かの名残だと思うけれども安らかに夜

 


あなたってミラクルだからラブなんだ 三連単で勝っちゃう愛が

 


森を抜けたところにあるスーパーで見た安売りのかぼちゃの安さ

 


エスカレーション 通過しては シーツが舞うようなインスタレーション

 


たすけてよ小瓶の蓋があかなくてワンルームはもう季節の涯

 


生まれたというだけの母校の広告 電車が揺れたから目を伏せる